0人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
just time
八月・夏休みの昼あたり。高校三年生の部屋である。本棚には分厚い本や漫画が並んでいる。
そこで勉強しているのは野宮律(のみやりつ)とその家庭教師・古田貫(ふるたかん)である。
クーラーが効いているのでまだ勉強をしている気力はあるが、律はもうあき始めている。
律 センセー、できたよ
貫 よし、
律 休んでもいい?
貫 ダメ。ほら、次こっち
律 えぇー、もう二時間続けてだよ。休もうよ
貫 お前、休んでいいと思ってるのか?
律 うん
貫 受験生に夏休みの余暇があると思うな
律 えぇ。でも、休まないと倒れる。暑いし
貫 ・・・
律 ねっ、休も
貫 そうだな。三時まで休憩にするか
律 そうだ。お菓子食べる?
貫 いいのか?
律 うん。待ってて
貫 悪いな
律、部屋を出る
貫 ノートの隅に落書きとか、アホか
貫、律の問題に丸をつけていくが、頭を抱える。
貫 俺の教え方が悪いのかな・・・
貫、力が抜け床に寝転がる。そして、遺憾の意を表すがごとく震えだす
律 何してんの?
貫 あげたてのマグロ
律 あっ、そう
貫 おっ、クッキー。
律 どうかな。おいしい?
貫 うまい。うまいよ。
律 よかった・・・
貫 律が作ったやつ?
律 うん
貫 こんなにうまきゃパテシェにでもなればいいのに
律 簡単に言わないでよ。色々と大変らしいよ
貫 親さんもそうなればいいのになって言ってたぞ
最初のコメントを投稿しよう!