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もう、ずいぶん前の話になりますが。
私が小学校低学年のころ。
当時、私が住んでいた辺りは、山と畑と川しかない田舎でした。
夏は魚釣り、冬はソリ遊びぐらいしか、やることがない毎日でしたね。
その年の冬は、いつもより雪が多く降ったので、私たちは、学校が終わると、毎日あきもせず仲間たちと連れだってソリ遊びに出掛けました。
近所の山の斜面には、林を削った墓場があって、雪が積もると格好の遊び場になります。
私たちは、墓石を縫うように滑って遊んだものでした。
そんなある日、いつもの仲間と一緒になって遊んでいると、いつの間にか、空がどんよりしてきました。
なんとなく寒くなってきたせいか、友達は、ひとり、またひとり、と帰って行きます。
「俺、もう帰るぜ」
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