天狗の話

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最後のひとりが帰ってしまうと、私は独りで墓の中に取り残された感じになってしまい、さすがに薄気味悪くなってきました。 夕暮れまでには、まだ時間があると思ったのですが、雪雲におおわれた空は、もう暗くなりはじめています。 だいたいが、みんなでワイワイするのが楽しいのであって、独りでポツンと滑っていたって面白くありません。 なんか恐いし。 墓場だし。 『もう帰ろうかな』 そう決めた私は、近道することにし、林の方へ歩きだしました。 夏にはカブトムシを採りに通いなれた林なので、迷うはずはないと思ったのです。 ところが・・・ 「あれ・・・?」
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