天狗の話

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見事に迷ってしまいました。 夏と冬とでは、辺りの様子が違って見えたのです。 「どうしよう・・・」 声にだしてみましたが、もちろん誰も答えてくれません。 返事されても恐いのですが・・・ 雪はチラチラ舞ってくるし、もう泣きそうです。 幸いなことに雪の積もった地面には、点々と自分の踏み跡が残っていたので、それをたどれば元いた場所には戻れるのですが、着くころには、もう真っ暗でしょう。 それは絶好に嫌だ! 墓場だし。 こうなりゃ泣くしかない、そう思った時でした。
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