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よけいなものを見ると恐いので、枝だけを見るようにしてだどってゆくと、いつの間にか林の出口に着いていました。
目の前には、見慣れた畑が広がっています。
『ああ、助かった!』
そう思った私は、もう、後ろも見ずに無我夢中で駆け出しました。
無事に家へたどり着いた私は、大慌てで掘り炬燵の中に足を突っ込んで身体を暖めながら、この不思議な話をじいちゃんにしてみました。
すると私のためにミカンの皮を剥きながら、じいちゃんは、驚きもせずに教えてくれました。
「そりゃお前、あれだ。
天狗さまだ」
「天狗なんて本当にいるの?」
「でもお前、会ったんだろ?」
「う~ん、見えなかったけど」
「バカだなぁ、天狗さまは、山の神様のお使いだぞ。
簡単に人前に姿なんぞ見せるかよ」
「へぇ・・・」
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