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「お前は天狗さまに気に入られたんだろな」
「なんで?」
「知らん」
「ふ~ん」
じいちゃんが剥いてくれたミカンを口に放り込みながら、私は分かったような分からないような気分でした。
そのじいちゃんも、私が中学校の時に他界しました。
今は昔の物語です。
大人になった私は、渓流釣りが趣味で、天狗のことなどすっかり忘れて、解禁の日など雪におおわれた山奥深くにイワナ釣りに行ったりします。
今でも、人の踏み跡の無い谷川へ足を踏み入れたりすると、大物の予感にドキドキしますね。
そぅッとポイントに近づこうとした時、
ポキッ
え・・・?
足元の雪に枝が刺さりました。
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