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「っは……はぁ…!」
ようやく、正輝が口を離した。
「はぁ…はぁ…はぁ、はぁ……」
余程夢中になっていたらしく、息を整えながら手を握って里花を見詰める。
その目はまだどことなく虚ろだったが、純粋に妹を心配する兄の顔に戻っていた。
「……里花……?」
「…っ……兄…さん……」
その表情を見て緊張の解けた里花は、力なくソファーに凭れ掛かった。
「り、里花っ……悪い……俺…っ…」
「…大丈、夫…だから……」
自分の行いを詫びる正輝に大丈夫だと言う里花だったが、本当は違っていた。
頭がぼんやりして、体の奥底が震えているような感覚がある。
まだ恐怖の余韻が残っているのか…………いや、そんなはずがない。恐怖はとっくに消え失せている。
先程、指や手のひらを舐められている間に感じた、ぞくぞくとした背筋の震え。あの感覚が残っているのだ。
体の奥底で、燻っているのだ。
「…っ…は……」
思い出した瞬間に燻りが強くなり、思わず吐息が漏れた。
「里花……?」
それに気付き、正輝が顔を覗き込んできた。
目の前に居る、自分の兄。
大好きな兄。
狂気を覚えるほど自分を大切に想ってくれている、優しくて頼れる兄。
里花はぼんやりしたまま見詰め返す。
「……兄さん……」
「っ……」
囁くように呼ばれ、同時に彼女の気だるいような目を見て、正輝は思わず胸が高鳴った。
普段から特別視している妹が、色っぽく見えてしまった。
見詰め合いながら、正輝はそっと里花の頬に手を添える。
「里花……どうした…? そんなうっとりした顔して……」
「分かんない…けど…なんだか…ぞくぞくして…」
「う、ん……」
胸が高鳴る。
「熱いような感じが…して……」
「ん…っ…」
高鳴りが吐息に混じる。
「体の奥で…何かが疼いてるみたい……」
「まさかだけど……感じた…のか…?」
「よく、分かんないけど……」
「なら……」
正輝はもう一度、里花の右手を口元に近付ける。
そして、指先をぺろりと舌でなぞり上げた。
「あっ…」
明らかに、艶を帯びた声だった。
「っ……里花…!」
煽られたのか、正輝はそのまま指を根元まで口に含んだ。
「ひゃ、あ…!」
「り、か…っ…感じるか…?」
わざと見せ付けるように目の前で指を舐めながら、正輝は里花に問う。
「兄さん…っ…や、やらし…」
「お前が…煽る、からっ…!」
ちゅうっ、と指が吸われる。
「あぁ…んっ」
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