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蛍川は近くにある小さな川で、夏になると沢山の蛍が飛び交う美しい所だった。
「……なんで夜中は駄目なの?」
「…昔からの言い伝えだ。それに、その時間は子供は寝てる時間だからだ」
確かに親父の言う通りだ。
だが、小学4年の時、俺は親父との約束を破った。
夜中に行ってはいけないのは、別に理由があるような気がしたからだ。
鼾を掻いてる親父の横を抜き足差し足で過ぎると、ズックを突っ掛けた。
川に続く農道の誘蛾灯には沢山の蛾が群がっていた。それを横目で見ながら、全速力で走った。
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