言い伝え

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 ……こんな夜中に何をやってたんだろう。  そんな事を考えていると、また、ガサガサと音がした。  音のする対岸に目を据えていると、白い服を着た女が川辺に向かって来た。  長い葦の陰に浮かんだその姿はまるで、蛍の光ようだった。  俺はドキドキしながら、女の挙動を(うかが)っていた。  女はスカートの裾を捲って川に入ると、下半身を沈めた。  月明かりが女の横顔を(かたど)っていた。――  そんなある日、夜中に小便に起きると、親父の姿が無かった。  ……親父も小便か。  そう思って、(しばら)く待ってみたが、親父は出て来なかった。
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