言い伝え

6/9
前へ
/9ページ
次へ
 あれ……? と思いながら便所に行くと、 「父さん?」  と声を掛けてみた。  だが、返事は無かった。  慌てて戸を開けたが、親父は居なかった。  ……どこに行ったんだろう?  アッ!  俺は思い当たると、急いでズックを突っ掛けた。  俺はあの時と同じ場所で、長い葦に身を隠していた。  暫くすると、対岸からガサガサと音がした。  目を凝らすと、男の顔が月明かりに現れた。  アッ!  俺は走った。必死に走って家に帰った。  【蛍川に売女の遺体!】
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加