言い伝え

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 新聞の見出しに、そんな活字を見付けたのは、それから間も無くだった。  あれから20年が経つ。犯人はまだ捕まっていない。  捕まるはずもない。  まさか、子供の仕業(しわざ)だとは思いもしないだろう。  俺があの時見たのは親父だった。子供ながらも、それがどう言う事なのか理解できた。  汚い! 親父は汚い!  親父を不潔に思いながらも、俺は後日、女に会いに行った。  雑草を掻き分けるガサガサと言う音に、女が顔を出した。 「なんや、子供かいな」
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