第五章 オレンジ色の証言〈解決編〉

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「穂泉さん……」 私は立ち尽くしている彼女に、できるだけ柔らかい口調で声をかけた。 事件は解決していない。 真相はまだ私たちには見えていない。 それは確実だった。 「もう十分だよ、ありがとう」と連城刑事が近づいてくる。 「後は僕たちに任せてくれればいい。彼女が大坪静香を殺害したことは間違いないのだから。正当防衛というのだって、悪あがきの出任せに違いないさ」 そうかもしれない。 でも、まだその奥に潜んでいる何かがある。 私にだってそれくらいは分かる。 「さあ帰ろう。どこまで送ればいいかな。キミたちは電車なんだろう?」 連城刑事が先に立って歩き始めた。 私たちもその後に続く。 「連城刑事」 穂泉さんが、多岐川亜美の消えていった方を見続けながら言った。 「彼女の話は本当かもしれません」
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