*3

2/6
前へ
/65ページ
次へ
8月9日 耳障りな蝉の声で目が覚める。 俺はゆっくり起き上がると嫌な夢でも見ていたのか、 涼しい室内とは裏腹に熱くなった体にまとわりつく汗でびしょびしょのTシャツを脱ぎ捨てる。 俺は高校に入ってからは一人で暮らしている。 かなりの量のバイトを入れての生活だった。 母親が死んだあと数百万という金額の金が出てきたそうだ。 もちろん遺産は俺に全額支払われた。 なにせ血縁が行方不明の父親と俺しかいないのだから・・・ 朝風呂を浴び、朝食をとり支度する。 ごく普通の日常。 「いってきます。」 誰もいない部屋に一言告げ、家を出る。 キーンコーンカーンコーン HRの鐘がなる。 「起立!!」 担任が入ってきて学級委員が呼びかける 俺は何故か朝から重い体を上げ担任の方角を見た 「!?」 担任の隣、入口付近には知っている顔が無表情でたっていた 「えー、今日からここに転入してきた郷本くんだ。仲良くしてやってくれ。」 じゃあ自己紹介をと促され郷本は口を開く 「郷本黛牙。よろしくお願いします。」 すごくシンプルな挨拶をし、ぺこりと体を折る。 「な・・・・・・」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加