執着を染める赤い色

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「………」 カナトが藍崎のものであることは理解しているし、分かった上でカナトと一緒にいる。 なのにどうしてこういった話になると、こうも胸が締め付けられるのか。 ああ、嫉妬で狂ってしまいそうだ。 もどかしい。 情けない。 苦しい。 どうしようもないことは分かっている。 けれど、とてつもなく押し寄せるこの気持ちはなんだ? 「…そうだな」 そう何時ものように無愛想に答えると、アキラはハルとまた話をしだした。 それを聞き流していると、いつの間にか手はグラスの方に伸び、その縁をゆっくり指でなぞると、クロスでグラスを吹き始めた。 日課になったグラス拭きをしていると心が落ち着いて、少し気持ちの整理ができた。 肯定の言葉を言わなければならない。これは決定事項であり、しなければならないことだ。 カナトとの関係を崩したくなければ。 俺はカナトを愛してる。 そう、愛してるんだ。だから俺はあいつを傷つけたくない。ならば、今は嫉妬をしている時ではない。カナトを愛しているのなら今はカナトの害になる因子を探せ。 自分でも分かりきっているだろう? は、気分が悪い。 こんな気分のままグラスを拭くこが自分の中で躊躇われたので、グラスを元の棚に戻し顔を上げると、ちょうど店の扉が開いた。 入ってきたのはお前にそっくりな弟と、黒髪緑眼の男、 藍崎マコトの秘書、執間 朱里-シツマジュリ-だった。 「ナオトさんお疲れ様です」 と微笑み俺の目の前のカウンター席に座るユキトに続き、 「お疲れ様です。急な招集で申し訳ありません。」 と執間もその隣に座った。 執間のにこにことわざとらしい貼り付けられた笑みが感に触る。 「いや、いつもの事だろ?」 「はは、それもそうですね」 そういい笑う顔も、嘘くさくてかなわない。
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