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『タンサンない? なぁ?タンサン!誰かタンサン知らん?』
梅雨時の湿った体育館の中に響き渡る声。
パヴァロッティいや、それ以上かもしれないこの澄んだ声の持ち主がハロルドだとみんなすぐにわかった。
『なんでタンサンないんや~!』
「ハロルドどうしたん?さっきからタンサンタンサンって」
長嶋茂男。あだ名はミスター半袖、いつも七分丈を着ている。
『お~っミスター半袖!ええトコにおってくれた、タンサン知らんか?タンサン無いと動かんのって。』
「えっ?タンサン?…タンサンって…タンサンが一番デッカイヤツけ?」
『あほ!一番デッカイヤツはタンイチやわ!タンイチの次の次のヤツやわ!』
「おお~あれね!あっちに乾電池置き場あるで行こっ。」
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