1 【Attribute(属性)】・・新撰組

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【Lightning petrochemistry(電光石化)】 「チッ。  槍持ってくればよかったぜ。」 原田さんは大きく音を鳴らしながら 乱暴に刀を振り回し、私を横目に舌を鳴らす。 確かに豪快な彼には、 剣より槍の方が性に合っているようで 時折、合わせる背中越しに 少しばかりやりずらそうに呟く彼を見て “見回り中に槍なんて持っていたら 邪魔でしょうがないでしょうに。” 敵にぐるりと囲まれたこの状態で 私はクスリと笑ってしまう。 原田 左之助。 新撰組きっての短気な暴れ者、 荒々しいことこのうえない。 彼の腹にある 一度切腹しかけたその傷が何よりの証拠で。 「駄目だ、めんどくせぇ!!」 原田さんはバサッと音をたて 相手の腕を勢いよく斬り捨てながら 清々しい色男の目元を少し細めて ゆらりと剣先を夜空に向ける。 金色に光る月の下 刀をまるで槍のように構え 私達を囲む男たちをギロリと睨む。 その眼と浅葱色の羽織から覗く晒が 月明かりに鋭く光り まるで雷神の様な彼の気迫に 仲間の私ですら圧倒されてしまう。 「ハジメ、ついてこいよ。」 原田さんは一瞬彼の気迫に呑まれそうになった 私にそう言い放つや否や まるで電光石化の様に 相手の懐めがけて飛び出す。 彼は、例え自分の身を斬らせても 一度狙った獲物はどんなことがあろうが斬り伏せる。 暗い闇の中、 刀と刀がぶつかり合い カッ!! とまるで雷の様に勢いよく火花が散った 瞬間、 ドサリと男が倒れ 辺りに血の匂いがたちこめる。 そして間を開けることなく バチバチッ!!と新しい雷が落ちるから 「雷様みたいな人ですね。」 私は相手の刀を受けながら 原田さんが敵じゃなくて本当に良かったと 苦笑いを滲ませてしまう。 新撰組で本当に良かったと。
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