妹弟達が可愛くて仕方ないという題名の昔話

6/7
前へ
/174ページ
次へ
「ああ、どうした?」 「父さんが呼んでる。あのクズのことでの話があるんだって」 彼はまるで生ゴミでも見るかのような目でクローゼットの方を見やり、不愉快そうに顔を歪めた。それに気付いた兄は、すかさずその視線を遮るように彼の元へ駆けていく。 「ありがとなー栴。お前もやっぱり可愛い─」 「うぜぇ」 可愛いと言いながら抱きしめようとした兄を、栴と呼ばれた少年は胸元を思いっ切り殴って阻止した。強い衝撃を食らって胸を押さえ痛がる兄を、気持ち悪そうに見下す。 「いってー。お前はまた乱暴だな~。榧なら素直に抱きしめさせてくれるのに」 「僕をアイツと同じように扱うな!!」 榧の名を聞いて過剰に怒りを露わにした栴は、憎しみさえ感じさせる怒気を兄に向けた。小さな子供とは思えない程恐ろしい睨みに、兄は寂しそうに悲しそうに眉を下げる。 「うっとうしいんだよお前。一族の恥さらしと一緒にいるだけでもウザいのに、僕とアレを同じ妹弟として見るなんて頭おかしいんじゃねぇの?」 またクローゼットを、というよりはその中入っている彼女のことを、今にも殺さんとする視線で睨みつけた。 「いっそお前も出来損ないなら良かったのに」
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

936人が本棚に入れています
本棚に追加