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「お兄ちゃん」
呼び掛けてきたのは、双子の妹弟の片割れ。幼いせいか顔がそっくりなので見分けるのは難しかったが、最近では他人であっても容易く見分けることが出来るだろう。
「ああ、どうした?」
理由は一つ、外見の変化。とは言っても小さい子供が整形している筈もない。双子の妹弟の片割れが、酷く醜くされているのだ。もう一人の片割れの、むごい暴力によって。
顔だけではない。胴体、両腕、両足、全身にあらゆる方法で暴力が行われている。それを止める者は一人しかいない。使用人も、親も、皆それが当たり前であるかのように、見て見ぬ振りを続けている。
「あのね」
何故ならそれは、当然の報いだと思われているから。貴族の家に生まれた出来損ないの子供として、当然の罰なのだと。
「また、
足を刺されちゃった」
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