妹弟の為にお兄ちゃん頑張る

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  「─このように、星や多角形の対角線を無茶苦茶に描いたところで思い通りにはならない。魔法陣を作るときに大事なのは、作る過程に命令を組み込んで出来上がった模様だ」 教師が黒板に書く文字を栴はぼんやりと眺めている。本来ならば隣の席の男子のように必死に書き写すべきなのだろうが、彼は完全に自分の世界に入ってしまっていた。 しかし他の生徒達が机にかじり付いている中、頬杖をついて手も動かしていない為、真面目に受けていないことは丸分かりだった。勿論そのような愚行を教師が見逃す筈もなく、質問の餌食にされてしまう。 「命令を二つ以上組み合わせることは難しい。そしてあまり使用されない。神塚、その理由を答えてみろ」 名前が呼ばれてもぼんやりとした目のままだったが、頬杖をやめ、真っ直ぐ教師の方を向くと口を開いた。 「…まず、それを作る為に膨大な魔力を消費します。単純に魔法を組み合わせるのと違いズレが生じやすく、それらが衝突し壊れないよう抑える力が必要になるからです。魔法陣を使うことで紙等に刻みさらに簡易に発動させることが出来ますが、基本的に複合出来る命令は単語である為、どうしてもあまり応用出来ないことが使用を避けられる原因だと思われます」
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