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まるであらかじめ用意していたような答えをサラサラと淀みなく言い切り、これでどうだと言わんばかりの視線を壇上の教師に向ける。
彼はそれを見て、若干の諦めを滲ませた苦笑いを俯いて誤魔化し、栴の言ったことを肯定すると共に説明を続けた。
それを確認すると、流石に授業に集中する気になった栴はノートに板書を写した。ただし隣の席の男子生徒とは違い、かなりゆっくりではあったが。
「じゃあこれで終わる。皆、実習頑張れよ」
チャイムが鳴ると教師は教材を片付け教室を出ていく。それと入れ替わりのように入って来たのは、髪の長いスレンダーな女性だった。彼女がこのクラスの担任である。
「はい皆さん席に着いて私の話を聞いて下さい」
席を立っていた面々は素直に席に着き、それを確認した担任は早速口を開いた。
「白虎の皆は知ってると思うけど、三日後のトーナメント式実習に優勝すれば“武闘会”へ行けます」
武闘会、その言葉でクラスの中にざわめきが生まれる。「何あの言い方」「優勝とか無理だろ?」「あいつに決まってるじゃん」殆どがこのような、ただ憤りや諦めを隣席の生徒と同意し合うだけの私語だった。
「それで、そのことについて緊急連絡があります」
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