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「さっきも言っただろう?鉛筆は書く為、神は崇める為。しかしそれは鉛筆に書く機能があるから、なら神は何故崇められるのか?崇められる条件が備わっているからだ」
「条件?まさかよくありがちな願いを叶える、とか?」
「そのまさかだぜ。神は願いを叶えられる、だからこそ崇められる。逆に言ってしまえば願いを叶えられないと神ではない」
「…だが、神に願えば叶うなら…一体何人が神に願ってると思ってる」
「別に人間の為だけに神がいるとは思っていまい?そもそも神という名称だって人間が勝手に付けたものだ。本来名前などあるはずもない存在なのにさ」
本気で同意を求める表情を向けてくる。それに少しばかり喪失感を覚えて、思わず下を向いてしまった。
「だから願いを叶えにやって来た」
「…は?俺は別に世界を創って欲しいなんて願ってない」
いい加減なことを言われて頭を上げるが、彼はきょとんとした顔を向けてきて、驚くべきことを言った。
「別に君の願いじゃないぜ、君の弟妹達の願いだ」
「え?」
「本当に愛の深い兄弟だとつくづく思うな。心中する直前、死んだら君が望む世界で一緒にいたいと強く願っていたんだよ」
「あいつ等そんなことを…」
「まぁ結局弟妹達は生き延びたがな。哀れにもお馬鹿に死んでしまった君くらいは、君の望む世界にいさせてあげようという思惑さ」
「…そして顔が一緒だという理由でお前が来たということか」
「大せーかい。別に見過ごしても良かったんだがね。折角新米になったんだから、一つくらい願いを叶えてもいいかと思い直した結果がこれだ」
「まるで後悔してるみたいに言わないでくれよ。こっちとしては家族の想いが知れて胸が張り裂けそうなくらい嬉しいんだ」
「それは良かった」
初めて彼は俺の知っている顔で笑った。一度だけ見たことがある、まだ弟妹達と居たときの俺の笑顔だ。
「さてそれでは君の意思を聞こうか。君がそれを言うだけで、君は望んだ世界にいけるんだぜ」
「…弟妹達のいる世界にいきたいんだが、無理か?」
「別に構わないが、君はもう一度愛しい人を悲しませる度胸があるのかい?結局は弟妹達の為に死んでしまうのが君の運命なのに」
「つまりいくら平和な世界でまた弟妹達と生きていても、俺が死ぬ運命は変えられないのか」
「数百の選択肢によっては変えられるかも知れないが、創造できる世界は一つ限りだぞ」
「…なら俺は…」
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