2人が本棚に入れています
本棚に追加
光が閉ざされた空間に、ライラはいた。体を丸くして、人間に恐怖していた。
「母さん…母さん…怖いよ…」
ガタガタと体は震え、必死に母親ドラゴンのことを考える
『最近の人間は、やたらとドラゴンを殺しているから、ライラがもし人間に捕まったりした時には、母さんが助けに行くからな!』
「でも、母さんはいない…
母さんに守られなくなったら僕……」
溢れる悲しみに、ライラはただ泣いていることしか出来なかった
すると、ライラの目の前に、一筋の光が差し込んだ。その光の中から一人の大柄の男が、こちらに向かって歩み寄る
「ガヴヴ……」
ライラは近づく男に唸り声を上げ、「来るな!!」という顔を表しながら、男に牙を向けた
「おいおい、そんなに警戒しなくったって~ほれ」
男が取り出したのは、ドラゴンの大好物の豚の肉だった
肉を見たライラは思わずヨダレが垂れた
ここのところ、あまり食にありつけなかったから
「大丈夫、毒とか入ってねぇよ…モグモグ」
「!!?」
その男は、生の肉を構わずライラの目の前で食べた。それを見たライラの食欲は頂点に達し
「ガヴッ!!」
「おい!!今俺が食ってんだぞ!!横取りは厳禁だ!!」
俺はそう言いながらも、必死に肉を頬張るライラを見て、安心の顔つきを魅せた
「モグモグ……おいひぃ…」
「おっ!ようやく口を開いたな~」
「…言葉、通じるの?」
「ああ、通じてるぜ!俺はイグニールだ!!お前、名前は?」
「僕…ライラ」
「ライラ?可愛い名前だな~」
「……………」
僕は今まで人間って、てっきり悪者かと思ってたけど
この人…母さんと同じ感じがする
「じゃあライラ、今日から俺がお前の親だ!!だから親の言うことはちゃんと聞けよ……ライラ?」
イグニールの顔を見るライラの瞳からは滝のように涙が零れ落ちた
「それってつまり…父さん?」
「?」
「僕、今まで父さんがいなかったから…父さんって呼んでいい?」
ライラは見た目青年に見えるが、中身はまだ幼い子供だった
一人が嫌なのは、人間の誰でも思うこと、イグニールはライラの頭を撫でた
「父さんと呼んでくれるなら!大歓迎だ!!」
イグニールの胸の中で、強く抱き締められるライラの心は、今だかつてない感覚になった
「痛いけど、暖かい…」
最初のコメントを投稿しよう!