一章

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そこは狭く暗かった。 動きたくても壁が邪魔をし、息をしたくても首は絞められる。 動きたい!!暴れたい!!と卵の中の命が叫ぶ その拍子に卵にヒビが入り始めた パキッ!  もう一つ、またもう一つと、卵の殻は割れて、割れた隙間から綺麗な瞳がこちらを伺う 尖った爪が外に突きだし、卵の殻を思いっきり破る パキパキ…パキャンッ  殻を破り、出てきたのはネトネトした体だった。黒く長い髪がその体全体を包み、その背中には小さな翼が生え、尻からは細い尻尾がヒョロリと出ていた ペタペタと地面を這うそれは、やがて横になって寝ている大きな巨体に目を向ける それはその巨体に近づき、巨体の横に添って体を横にする。そして抱きしめるようにそれは眠る 今日、ドラゴンの卵から人が産まれた
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