二章

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大きな洞穴の中に、それはいた ぐったりと地面に寝そべって、ピクリとも動かない母親ドラゴン。その近くでライラは翼を羽ばたかせながら、母親ドラゴンの額に水で濡らした冷たい布を乗せた 「母さん、大丈夫?」 「ああ、大丈夫だよ。それにしても我も歳だな…こんなに早くして動けなくなるなんて」 母親ドラゴンの年はは2000歳、体が悲鳴を上げて明くる日か動けなくなってしまった。 一方ライラは5歳にしては、成人男性並みの体型に成長していた これも、ドラゴンの母乳を飲み続けたお陰だろう。 「動けなくても、僕は母さんがいれば大丈夫!」 そう言ってライラは母親ドラゴンに抱きついた 「(もしかすると我は、旅立ちの時が迫っているのかもな)」  自分の死が近づいていると自覚し始めた母親ドラゴンは、せめて今の内にライラに伝えようとを決意した 「ライラ、お前は自分が何者か分かるか?」 「僕?僕はドラゴンだよ。だって母さんから産まれて来たんだもん」  やはり、そう答えるか…と母親ドラゴンは黙った 「ライラは自分の姿を見てなんとも思わんのか?」 「見たときあるけど、別になにも」  いや、ライラは既に気づいているはず…自分は我に似ていない、まるで人の姿に似ていると 「ライラよ、よく聞くのだ。」 母親ドラゴンは横になっていた体を起き上がらせ、ライラと会話が出来る態勢になった 「母さん?」 「いいか、よくお聞き。我の話をする前に…」 母親ドラゴンはライラの頬に優しくキスをした 「母さん、いきなりどおしたの?いつもの母さんらしくないよ」 頬を赤く染めながら、ライラは心配そうに母親ドラゴンを見た 「我の命は後わずかだ。ライラ、お前には気の毒だが、これからお前一人で生きていきなさい」 いきなりのキスに続いてとんでもない発言にライラは混乱した 「母さんなんで!?僕は母さんのことが大好きだよ!!なのに一人で生きろだなんて、嫌だよ!!」 一人になることを嫌がるライラに、母親ドラゴンは遂にあの言葉を発してしまう 「お前は我の子じゃない!!」 「え?」  すまない、ライラ…我の命はもぉ… 「母さんは僕の母さんじゃない?」 ライラの目に涙が溢れた
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