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振り向いたそこには、彼女が立っていた
それは、前述したような容姿をした女の子だった
彼女を見て、俺は心臓の音に耳を傾けてみる。やはり、とくんと少し大きめに音を立てているのがわかる
改めて、認識する。一目惚れは、誤解なんかじゃなかったと
「………」
女の子は、手に持っていた何かを近くの机に置き、俺の方に視線を送ってきた
その視線に、俺自身一瞬固まってしまう
その眼鏡の奥に光る瞳は、それは随分と大きくて、どこか吸い込まれそうな感覚を受けた
「何か…用?」
女の子は、静かに口を開いた
なぜか、そのとき俺はある種の金縛りから解放されたような気がした。その小さな声が刺激となったのだろうか
「あ、いや、その…」
どもってしまう
しかし同時に、少し冷静に考えると、俺はこんなところで何をしているのかと、自分を客観的に見つめることが可能になってくる
そうだ、俺はいったいここで何をしているのだろう
一目惚れをした。これは間違いないことだ
だけど、自分はついさっき初めて見た女の子に、こんなに急速に近づこうとするタイプの人間でもないはずなのだ
自分自身の行動に、自分自身が一番驚いた状態になってしまった
しかし、何か用、と聞かれた以上、ずっと黙っているわけにもいかない
「あ…俺、1年生なんですけど、その部活見学しようと思って」
「そう…」
……
……
…え?それだけ?
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