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「尊敬する人は、アインシュタイン」
いつだっただろうか、中学生のころだということは間違いないのだが
何かのアンケートで「尊敬する人物」を問われたときに、俺が答えた答えだ
勘違いしないでほしいのは、俺は別に、科学分野に心酔しているわけではないし、得意分野にそれを置いているわけでもない
このように答えた理由は、あの有名なアインシュタインの写真
そう。舌を出して、おどけて見せているように映っている、あの写真を思い出して、なんとなくそう答えただけなのだ
俺は写真を見て
ああ、表情豊かな人なんだなと、そう思った
科学者なんて人は、みんな難しい顔して実験とかをしているものだと思っていたから、いい意味で、俺のそういう偏見を打ち砕いてくれた人物でもあった
しかし、それが、どうして「尊敬」という感情につながるのか、そこの因果関係は分からないし、理解もしようとも思わない
どうして、そう思うのか
それは、本当に尊敬なんかしていないからだ
そう。そのときはアンケートという、俺にとって手間というデメリットはあっても、メリットなんかこれっぽちもない作業に対して、かなり億劫になっていたのだろう
その面倒な作業に、俺はなるべく労力を抑えようと、適当に頭に浮かんだ人物を適当に理由をつけて、適当に書いたに過ぎない
アインシュタイン。確かにすごい。相対性理論だか何だかを解明した人だっけ?
だけど、詳しいところまで知ろうとはもちろん思わないし、どんな人物なのかを調べようとも思わなかった
しかし、それでだれかから責められる謂れはもちろんない。俺は普通の中学生だったのだ。思春期真っ盛り、多感な時期に、そんなことで責められては精神がもたない
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