プロローグ

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だから、俺はアンケートに彼の名前を書いただけであって、自分の人生に彼の存在が大きく関わっているわけではないのだ しかし しかしだ 大きく関わっているわけではないのだが、それだけの関わりと言えるわけでもないというのが本当のところ 彼の存在は、俺の人生に何ら影響を及ぼさないが ただ、軽いトラウマくらいにはなってしまっているのだ 中学2年生の春 友達が誘ってくれた、人生初めての合同コンパ、通称合コン もちろん、わくわくしながら参加する俺 どこかのファミレスに入って、仲良くおしゃべりする男女 そしてなんとなく、誰かが聞いた 「どんな人がタイプ?」という質問 俺は、その質問に対し 「アインシュタインみたいな人」と、自信満々に答えた 普通に適当な芸能人の名前でも答えてりゃいいのに、ちょっとだけ、博識ぶりたい気持ち、ユーモアを見せたい気持ちが邪魔をして、俺はそんな微妙な解答をしていた そして、その俺の解答は 確実にその場の空気を凍りつかせたのだ
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