彼女はサクラの香り

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神原市立第一高等学校 地元では進学校として通っているこの学校だが、単に市内に普通科の高校がここしかないから、そう言われてるだけであって、俺が入れるくらいの、言うならば普通レベルの学校 剣道部と吹奏楽部が、結構有名だということ以外は、特に特徴はない。全校生徒900人ほどの、何度も言うが、普通の学校だ そんな普通な学校は、それでも何とか特色を持たせようと、部活動には力を入れようとしているらしい 「全校生徒が、必ず何らかの部活動に入部する」 どこの学校にもあるものなのかは知らないが、第一高校は、そのような規則をしいていた 入学式から、早1週間 俺は、放課後になると決まって校舎内をブラブラとしていた。もちろん自分の入る部活動を探すためだ ささやかながら「高校デビュー」を掲げている身なので、何かの部活動に入るのは決して吝かではない しかし、この学校いかんせん部活動が多すぎるのだ 運動部は、野球部やらサッカー部やらのメジャーなものから、登山部とか、少林寺拳法部とか、あまりお目にかかれないものまである 対して文化部の方も「吹奏楽部」「演劇部」「茶道部」などの有名どころのほかに「アカペラ部」だの「管弦楽部」だの、合唱部や吹奏楽部とどう違うのかと、少し疑問に感じてしまう部活動までが存在する その総数…いくつだっただろうか ともかく、たくさんある この学校に入学した生徒なら、よっぽど入学前から部活動を決めているようなやつ以外なら、きっと悩んでしまうだろう。俺もそうだった この1週間、とりあえず、運動部は全部見て回った。中学時代に所属していた野球部は一番最初に見に行った 練習がしんどそうなので却下だった
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