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とか思っても、口には出さない。
いちを彼は頑張って自分で言葉にしようと努力してるから。
まぁ、あんまり遅すぎたら遮るけど。
そこまでいい人じゃないからね。
「さ、いしょ…は…すご…く……す、き…だった………でも、」
「でも?」
「いま…の、ゆー…り…は…にが…て……」
「………………」
ちょっと待って。
ゆーりって誰だ。あいつか。ナルシストか。
ナルシストの下の名前なんて知りたくもねーよ。しかもゆーりとか名前だけは可愛いな。
「で、書記は何がしたいの」
「?」
「?じゃないよ。あいつが苦手だからなんなの?自分の気持ちが分からないって?そんなの自分でもう分かってんじゃん。あいつのことが苦手なんだよ」
自分で口にしてたじゃん。
なのに、なんで分かんないかねぇ。
自分の気持ちに鈍感すぎるのも大変だな。
呆れた目で見ていると、書記は自分の胸に手をあて
「…ゆーり…が、…に…がて…」
と何度も呟いている。
何度か呟いたあと僕の方に視線を向け
「…お、まえ…も…ゆーり…にが…て……?」
「当たり前に決まってんだろ」
誰かあんな馬鹿犬を好きになるか。
そんなこと世界が狂っても壊れてもありえないな。僕が心の底から愛してるのは睡眠だけだ。
つか、なんであんなナルシストに惚れるのか逆に疑問だぞ。
あれか。感染症なのか。なら病院に行くことをおすすめする。ただしそれは精神科の方がいいと思う。
永遠に続くぐらいの川嶋への鬱憤を口にしていることに自分自身気づいていなかった。
そして、そんな僕を見て柔らかく笑う書記にも転入生への苛立ちのため気が付かなかった。
『(き、み…の…ほう…が……)』
えんど。
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