空くんと雲

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
ある晴れた日に 雲は勇気を出して空君に話し掛けました。 『今日はいいお天気ですね』 小さな声になってしまいました。 空君は言いました。 『え?何か言ったの?モゴモゴ言ってて聞こえなーい』 雲はちょっと意地悪に言う空君の態度にムッとしました。 『どうせ私はいつも独り言を言ってるみたいだと言われますよ』 空君はもっと意地悪になり 『独り言かとおもったよ。全然聞こえなーい』 雲は空君の更に失礼になった態度に腹が立ち 『いいお天気ですねって言ったんです!』と大きな声で空に向かって叫んでいました。 それから数日、雨になりました。 そして今日はやっと青空の晴天になりました。 でも、雲はなかなか空君に会えずに仲間の雲達の影に隠れていました。 するとヒューッと風が吹き、 仲間達が風に流されてしまいました。 雲は空君に丸見えになりました。 隠れる場所はありません。 恥ずかしいけど勇気を出して 『こんにちわ』と雲は元気よく挨拶しました。 すると空君も『こんにちわ』と明るく言ってくれました。 雲は嬉しくなって『今日はちゃんと聞こえた?』と空君に聞きました。 『うん、聞こえた』と爽やかに空君が言いました。 雲はちょっと空君に近付けた気がして幸せな気持ちになりました。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!