第1話 赤薔薇の夢

2/2

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「何よ、あんたにしては真剣な声じゃない」 青年の真剣な声に、私――ヴェルメリオはニカッと笑って…内心の動揺をごまかす。 「茶化すな」 青年の声に、ヴェルメリオは静かになる。 青年はすっ…と私の手を握った。 黒い手袋が視界にはいる。 「……」 ヴェルメリオは黙ったままだ。 (そろそろ夢が終わる…) 段々と夢の世界が白けていく。 「なぁ…ヴェルメリオ」 薔薇が舞う。 ヴェルメリオの美しい髪が血のように赤い花弁と踊る。 「結婚してくれ」 (眩しい…) 幻想的なその場面は、いつものごとく強烈な光と共に消えていった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加