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「何よ、あんたにしては真剣な声じゃない」
青年の真剣な声に、私――ヴェルメリオはニカッと笑って…内心の動揺をごまかす。
「茶化すな」
青年の声に、ヴェルメリオは静かになる。
青年はすっ…と私の手を握った。
黒い手袋が視界にはいる。
「……」
ヴェルメリオは黙ったままだ。
(そろそろ夢が終わる…)
段々と夢の世界が白けていく。
「なぁ…ヴェルメリオ」
薔薇が舞う。
ヴェルメリオの美しい髪が血のように赤い花弁と踊る。
「結婚してくれ」
(眩しい…)
幻想的なその場面は、いつものごとく強烈な光と共に消えていった。
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