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電車内は暖房が利いていた。
かなり暖かい。
しかしながらも裕福な時はあっという間だ。
いいや、きっと自然は彼等に敵しているのだろう。
待っていた時間よりも早めに降ろされる始末となった。
なんとかレールの雪をどけて動いた電車だったが。
途中の線路上で何かあったらしい。
こちらとしてはとてつもなく迷惑だった。
始めと同じように駅で待たされていた。
しかしながら人は圧倒的に多く密度が高かった。
早いとこ此処から逃げ出したかった。
だが、まだ2~3駅先が目的地だったのでどうしようもない。
父は迎えに行った方が速いと考えたのだろう。
携帯電話で連絡を取り合った。
「おっといたいた!叶兄ちゃん~!」
人がごった返している駅前で一際目立つ声がした。
車がギリギリの人の中に突っ込み目の前で止まった。
「おぉ、よく分かったな。叶太、風也君寒かったろう。早く乗れ。」
「父さん!ありがとう。」
「ありがとうございます。お邪魔します!」
雪を軽くほろい後部座席に飛び乗った。
車内は暖房が効いていて暖かくなっていた。
「叶兄ちゃん!久しぶり!」
助手席側には少々幼く見える叶太のいとこの安南がいた。
彼女は中学3年で高校へ向けて受験中だ。
「久しぶり。迎えに一緒に来てくれたんだね。ありがとう。」
えへへーっと安南は照れてみせ頭をかいた。
「はじめまして、わたしは深瀬安南です。」
「ああ、俺は副永風也、安南ちゃんよろしく!」
初対面同士で詰まるかと思ったが、2人とも率先して話を進める人柄だった。
心配することはあまりなかった。
「よし、帰るか!叶太、風也君これから3週間よろしくな。」
「うん。」「はい。」
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