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父に連れられやっとのことで着いたのは。
仕事場&これから3週間泊まる旅館だった。
父が代々受け継いでいるため、兄の高校やら大学やらで引っ越しても付いてはこなかった。
このままだと次の代は安南が受け継ぐだろう。
その方が叶太も助かる。
裏口から厨房の方へと入る。
いい匂いとともに暖かい空気に包まれた。
時刻は4時を指していた。
もう、夕飯の準備をしているのだろう。
そうなるとここはすぐにでも戦場と化す。
早めに別部屋に移動した方がいい。
大きめのバッグを食材や人にぶつからないよう気を配り急いで通り抜けた。
しかし出遅れこの世界に無知の風也は途中ボウルをひっくり返してしまった。
「おい!何やってんだ!!!」
怒声が上がる。
「スミマセン!今すぐに戻し……」
「馬鹿戻すんじゃない!お客様に出すんだ落ちたのなんかもう遣えない!!!」
「あうぅ……」
何もするな!サッサと移動しろとも言われ
仕方無しにバッグをぶつからないよう担ぎ急いで通り抜けようとしたが、
そこにも風也に怒声が入る。
「お前、食材にゴミが入ったらどうするんだよ!!!そんな荷物持ち上げるんじゃない!」
見た目不良のガラスのハートにこれだけで傷はついたただろう。
失敗してからの負の連鎖は誰だってあるものだし、怖いものだ。
「俺…もう、無理かも……」
仲のいい友人はもう精神的にボロボロだった。
「いいや諦めるの早いって、きっと良いことあるから。」
「うぅん。そうだよな、そうだよなぁ……」
なんとか励ましてみるも、
今まで見たことないくらい落ち込んでいた。
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