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雲が厚く覆い 気温からしてまた雪が降りそうな天気。
たとえ降ったとしても 次の日にはすぐに溶けて消えている。
雪が積もっても まあ、多少は雪合戦はかき集めればできるだろが 雪だるまやかまくらなどといった様なことは望めないな。
今の時期、学校の受験生皆が忙しく勉強している中
ヘッドホンを着けて黙々と帰る支度をしている人物がいた。
例え志望大学が決まっている人でも、手伝いで残る方が多いものだから、彼はかなり浮いて目立っていた。
「叶太~お前学年トップなんだろ?教えてくれよ!なんか奢るからさ。」
「いいや、僕はちょっと……」
口ごもってしまうのは癖だ。
逃れようにもないこの場をどう断ち切れるか考え始めた。
お願いにきた相手は内気で断れない彼が了解してくれるのは分かっていた。
そこへ別のクラスであろう人物が勢いよく押しかけてきた。
金髪で白いウインドブレーカーを着てさらに付いているフードを被った奴が迷惑をかけにやってきたのだった。
「叶太!お前暇だろ?一緒帰ろうぜ!」
皆が皆学ランといった全身黒に染まっているなかではかなりと言っていいほどその明るい色は目立っていた。
その明るさに便乗したようにヘッドホン少年の叶太の表情は明るく見て取れた。
「えっと、そう言う訳で帰るや。そいじゃ」
青いマフラーを首にかけ駆け足でその不良の所に駆けつける。
その後ろ姿を目にする受験生は肩を落とした。
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