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帰り道、不良ぽい人物はポケットに手を突っ込んで歩く。
それに並んで長身な優等生が付いて歩く ギャップのある光景だ。
改めて自己紹介をしよう。
僕は 『 吹野 叶太 』
大学も決まりごく普通に平凡に残りの高校生活を送れば全て完結を迎える者だ。
そして校則違反的金髪の彼は
『 福永 風也 』
我が道を行くのがモットーな彼。元番長とか言われているが転校した頃には抜けたらしく信憑性がない。
ただ喧嘩は強いし 、勝負とならば頭を使う以外は勝ち続ける。
「ごめん、助かったよ。」
「っん?何がだ?」
「いいや、なんでもない。ありがとう。」
「訳わかんねーなぁ。」
そう言いつつも分かったと顔に書いてあるかのような表情をして見せる。
「あっ、そういや俺ン家ちょっと野暮用があってな…」
「分かっているよ、僕の家でゆっくりしていったらいいよ。」
ただ彼が家へには帰りたくないのは解っている。
叶太が拒まないのは親友との時間は減らしたくなかったってこともあるだろう。
「よし、じゃぁ今日もご馳走かな。」
母はお客を喜んで歓迎し腕を振るってくれる。
最近その回数も増えそのたびに心踊る事が増えた。
「ただいま。」
「おじゃまします。」
玄関で家の中に向かって声をかける。
「あら、おかえり。」
母は僕等に対しおかえりと声を返した。
彼が来るのはもう日常の事だから定着しておかえりと言うようになっていた。
「おっ、また来たか。今日こそ勝ってやるからまたよろしく頼む。」
兄も来るのを楽しみにしていたようだ。
きっと話の内容はゲームのことだろう。
この前のシューティングゲームで大差をつけられ負けてしまった兄はここ一週間は一夜漬けで攻略法を探していた。
完璧主義者は苦労するものである。
「兄さん、今日もギッタギタにしてみせますよ!」
外では不良ぶって口調は悪いかもしれないが、僕の家では普通な奴だ。
荷物を僕の部屋に放り込んでは兄の元へ向かった。
まるで家族の一員のようだ。
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