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「さっきの電話、お父さんからだったんだけど おばさんがね、新しい仕事がしたいって言って 出ていってしまわれたんですって。忙しい時に人手が足りなくて困っているんだって。だから、3週間手伝いに来て欲しい って言う話なの。お給料もでるって。永太は仕事冬休みで一週間は行けるでしょう? 叶太は受験決まったし2人とも行ってみない?」
つまりはバイトをやらないかという感じだ。
「僕は別にいいけど。」
叶太は自信なさげにそう答えた。
別に嫌ってわけでもない。
「悪い、俺コレだわ。」
それに対し兄はコレといって手の小指を立てる。
「これってなによ。」
「お母さん、きっとデートですよ、デート」
風也はこっそりと会話に混ざりこみ母に耳打ちした。
「おぉい、コンニャロー風也!」
兄はわざと怒ったフリをして冗談を言う彼を取り押さえ頭を拳でグリグリめり込ませた。
なんだか端からみると兄弟のようにも見える。
その封じを解いて、改まって風也が口を開いた。
「お母さん、それ俺も行っていいっすか?」
それには、僕等家族全員驚いた。
「はっ?なに言ってんだよ、お前受験は?」
兄がその疑問を代表して問う。
「いっやー、大学はちょっと勘弁。金ないし、勉強メンドイし。だからさ、まずは生活のためのお金が必要なのもあるかな。」
唖然とした。
しかし、コイツの家庭事情を思い出すと納得いく最もな理由だ。
「そうね。お父さんに聞いてみる。どれくらい行けそう?」
「叶太と同じくらいの期間だと、学校も簡単に抜けられるのでそれくらい。」
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