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「別に俺の女じゃねー」
「あ?マジかよ。
紛らわしい事してんじゃねーぞ、おらぁ!」
数人のファントムズメンバーに引きずられて、不運なバンドマン達がライブハウスから退場していった。
…
「わざとやってんだろ?」
ふいに、スティーブがそう口にした。
真後ろにバツが悪そうな顔をしたサラが立っているからである。
「また助けてもらえる。気が引ける。
そう考えてたんだろ、って訊いてんだよ」
「別に…」
「そうかよ。いっぺん死ぬほど嫌な思いでもしてみりゃ良かったんじゃねーか?
アイツらも余計な真似しやがって。ほっときゃイイのによ」
サラは言い返してはこなかった。
間接的にではあるが、スティーブに助けられているからだ。
プライドの高い彼女にとって、これ以上嫌味ったらしい男はいないだろう。
「俺にどんな気持ちを抱こうがてめーの勝手だがよ。
周りの他人を巻き込むようなやり方が抜けねーんじゃ、あっちで男をたぶらかしてた頃と何も変わってねーんだよ。
勝負するなら自分の身一つでやるんだな」
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