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その後、いつもの様にタクシーで家まで送ってくれて、玄関先で別れた。
「それじゃあ、またね」
と手を振るリン。
親戚だと名乗りながら一度も家に足を踏み入れようとはしないことに不審に思いながら、聞いてはいけないことのような気がして、踏み込まずにいた。
家の中に入ると、母のすすり泣く声が聞こえてきた。
そっとリビングを覗くと、すすり泣く母になだめる家政婦の姿が見える。
「また、あの人に女ができたみたいなの」
「また?これで何度目よ、もう見切りつけたら?」
厳しく窘める家政婦に、母は、それはできないと泣いていた。
リビングに入らずに、そのまま自分の部屋に向かい、ベッドに横たわった。
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