死という概念

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その後、食事を終えると二人に生活用品を取りに戻ることを伝え、久野実家を出た。 やたら久しぶりに外の道を歩く気がするが、よく考えるまでもなく気のせいだ。 夏ということもあり、外は灼熱の地獄だった。 アスファルトが焼け、じりじりと僕の体力を奪っていく。 独り暮らしをしている家に向かっている途中、コンビニが見えてきた。 飲み物でも買うか……。 コンビニに入ろうと入り口に近づいたときだ。 異様なほどに敵意を持った視線を感じたのだ。 入り口の横にあるごみ箱を挟んみ、男がたばこを吸いながら立っていた。 アミカさんよりも明るめの茶髪をしたその男と目があう。 こんなに暑いというのに中にドクロのTシャツに黒く長袖のジャケットを羽織っている。 その風貌はいかにも不良です、と言ってるようだった。 いかんいかん、あの手の人と長く目を合わせると喧嘩を売られてしまう。 僕はすぐに目を逸らすとコンビニの中に入った。 コンビニの中は非常に涼しく、体の汗が引いていくのがわかるようだ。 もう外に出たくないとは思うが……。 目的の飲み物を取るとレジへと向かった。 そこから先ほどの男がいる位置をみると、その姿はなくなっていた。 内心ほっとしつつも外に出た。 ……暑い。とにかく暑い。 外と中の気温の差に、一度引いた汗がどっと出てきた。 もう一度店内に入ろうか、そんなことを考えていると……。 「ちょっといいっすか?」 突然肩を叩かれる。
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