死という概念

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「準備ってそんなにかかるものなの?」 「まあ、2週間後を楽しみにするのだな」 「準備って大変なのね……」 また、ぼーっとテレビを観始めるクミカ。 その表情が驚きと感動に変わる日が今から楽しみだ。 そんなわけで、僕は真夏の日光のもとへと旅立ったのだった……。 「あら、ケイスケじゃない。どこいくの?」 フェードアウトしようというところで、偶然にもアミカさんに出会ってしまった。 タイミングが微妙に悪い。 「アミカさんは講習終わり?」 「うん、そう。で、どこ行くの?」 っく、しつこいな。せっかくサプライズでみんなを驚かせようと思っていたのに、アミカさんの顔は、面白いものを見つけた子供のような笑顔になっていた。 これは避けられない。 「クミカが海行きたいって言うから、その資金集めに短期のバイトでもやろうかと」 「ふーん、クミカのためにねぇ。ずいぶんと熱心なこと……。応援してるから頑張って!」 嫌な含み笑いとともに家の中へと消えて行った。 これは嫌な予感がする。
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