笑顔の理由

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あれから数日が経った……。 僕もなんとかバイトに慣れてきている……といいなぁ。 などとうつつを抜かしつつ、今宵もバイトに励んでいる。 深夜帯のバイトは予想よりも暇なものだった。 幽霊の一人や二人、出てくればまだ話し相手になっただろうに……。 深夜帯でペアを組んでる男性は基本無口で愛想が悪い。よく接客業につけたものだと感心する。ちなみに今は裏で事務作業という名の仮眠をむさぼっている。 このバイトの期間は2週間。こんな短期間でも、よほど人手が欲しかったのかあっさり採用。 すぐに次の日から出勤することになった。個人的にはかなりありがたい。 久野実家から海まではそこまで遠いわけではない。かといって近いわけでもないのだが……。 2週間ガッツリ働けばみんなで海に行くことだって可能だ。 そのころにはアミカさんも夏期講習が終わるはずだし、ユウも自分の存在のコントロールもできるようになるはずだ、とクミカから聞いた。 みんなが頑張っているんだ。僕だけ家でだらけるわけにはいかない! いや、今も一人だけ家でだらけている人がいた気もしなくはないが、今回の働くきっかけはクミカのくれたものだ。大目に見てやるとしよう。 と、一人で勝手にやる気がみなぎってきていると、深夜だというのにちょうどお客様が来店した際のベルが鳴った。
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