死という概念

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「ああ、言ってなかったね。クミカに連れてこられた人は一緒に住んでもらうことになっているの。ケイスケ一人暮らしらしいし問題ないでしょ?」 ニコリと相変わらずの笑顔でとんでもないことを言うアミカさん。 聞きたいことはいろいろとある。 まず、その理不尽極まりない同棲の理由。 次になぜ一人暮らしということを知っているのか。 「なっているって……。え? 僕が? 三人で?」 「三人じゃないわ。エイジもいるもの」 クミカは再びソファーに腰を下ろした。 エイジ? 聞き覚えのある名前だった。そう、高校時代に一つ上の先輩に同じ名前の人がいた。 こっちの方に来ているという話は聞いていたが、まさかな。 ちょうどその時だ。 「たっだいまー!」 玄関から男の声が聞こえてきた。 それも、聞き覚えのある声だ。 その男が僕らのいるリビングの扉を開けるとその顔が……。 「エイジ先輩!?」 「ん? おう! ケイスケか、久しぶりじゃないか!」 エイジ先輩は体格もよく金髪でぱっと見どこの不良かと思う風貌なのだが、ものすごく気さくで、誰に対しても壁を作らないよき先輩だった。 まさか、こんなところで再会を果たすことになるとは思いもよらなかった。
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