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そう思い直し、すぐさま三上の後を追ったが、既にその姿はなく、彼女の家を調べ、家まで謝りに向かった。
しかし彼女は玄関のドアを決して開けてはくれず、姿を見せなかった。
「もう、帰って!」
そうドアの向こうで叫ぶ。
真面目で真っ直ぐな彼女を傷つけたことに、胸は痛んだ。
「……女史、最初賭けから声をかけたのは本当なんだ。
でも最初だけだった。俺、女史と一緒にいて、色々な話をして好きになったんだ。皆が見てたのも知らなかった。
本当にごめん、謝るよ。
だからお願いだから、顔を見せてくれないか。
はじめて、真剣に女の子と向き合いたいって思ったんだ」
必死で訴えた。
それでも、ドアは開かなかった。
「もう……お願いだから、私の目の届かない所に消えて!
顔も見たくないわ!」
悲痛な涙声。
「女史……」
彼女の深く傷ついた心に、もう何も言えなかった。
しばしその場に佇み、ゆっくりと背を向けた。
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