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「いってらっしゃい、パリへ。あなたにとってきっと大事なことだと思うから」
祖母はそう言って優しく頬を両手で包んだ。
優しくやわらかな香りが包む。
「本当に樹利は眩しいくらいに美しく成長したわね。これからもきっと更にあなたは磨かれるわ」
そう言ってそっと額を合わせた。
奔放な両親に囲まれて育つ中、その祖母の存在がどれだけ自分の支えになったか分からない。
幼い頃は夏休み、冬休みの度に、ここに来ていた。
思えば中学に入ってからは、ほとんど顔を出していなかった。
「……ありがとう。帰国する時は必ず顔を出すよ」
そう言うと祖母は嬉しそうに微笑んだ。
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