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「本当にごめん……。
俺、本当に女史に惹かれてたよ。
そして女史のお陰で目が覚めた。ありがとう」
そう言って、深く頭を下げた。
「ど、どうして、パリなの?」
戸惑いながら尋ねる三上に、
「デザイナーになるんだ」
と気恥ずかしい気持ちの中、そう言って顔を上げた。
「それじゃあ、三上女史も元気で」
と、会釈して歩き出すと、
「わ、私を傷つけたくらいなんだから、必ず、有名になってよね!」
と三上は目に涙を溜めながらそう声を上げた。
振り返って小さく笑い、片手を上げて見せる。
それは苦しい過去から、一歩前進した旅立ちの日だった。
第3話『高校生』
end
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