第3話 『高校生』

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背後で「やったぁ」と声を上げる友人達。 「落とせたら、菅野にも金渡すよ」 その言葉にはウンザリしつつも、気持ちは乗りたかったバイク一色だった。 さっさと声を掛けて、バイクを貸してもらおう。 授業をサボッてどこか走りに行こうかな。 そんなことを思いながら図書館に入り、デスクで黙々と本を読んでいる三上の元に歩み寄った。 ……しかし、一言声かけるって、何言ったらいいんだよ? こんにちは、とか言えばいいのか? そう思いながら、三上の持つ本を見て、感心の息をついた。 「ヘミングウェイの英文読んでるんだ、凄いな」 思わず素直な感想を述べた。 すると三上は怪訝そうに顔を上げただけで何も答えず、また本に目をやった。
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