あとがきにかえて

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ゴツゴツした、男の手。 冬になると乾燥してザラっとする優斗の手に、寝ている間にこっそりハンドクリームを塗るのが私のささやかな愛情表現。 遠距離になって、出来なくなっていたけれど。 次の冬には同じベッドで眠れるから。 とっておきのハンドクリームを用意しておこう、とおでこにピタッと馴染んだ優斗の手を握って一人頷いた。 「え?あれ?中野って……、」 「はい。中野優斗です。彩さんとは保育園から高校まで一緒でした。ご無沙汰しております。」 「ええっ?なに。彩の彼の優斗くんって、あの、もも組の優斗君だったってこと?もー、彩ってば。教えてくれればいいのに。」 私が選んだ八番目は、保育園から高校まで一緒だった、中野優斗。 その昔、純くんに心奪われていたときにお父さんが言ったんだよ? 覚えてる? 『彩。優斗くんなんて、どう?仲がいいし。』って。 大袈裟なくらいに驚いたお母さんの横でお父さんは、懐かしむように顎に指を当てて「あの、優斗くんかぁ。」と感慨深く目を細めた。 優斗より、細くてスラリと長い指をしたお父さんの手。 私はあのお父さんの手に守られてこれまで生きてきた。 その手と同じくらい優しく温かい手を見つけたよ。 ずっとそばにあったけれど、長い間気付かなかった男としての優斗。 それでも、私の手は優斗の手に繋がっていた。 今日からお父さんの手はまた、お母さん専用。その逆もしかり。 小さい頃から仲が良くお互いを労わりあって、でもいつまでも男と女。私達もそんな夫婦になりたい。 これからもずっと、二人は私の理想。 ねぇ、知っていた? 「お父さん、お母さん。私、幸せだよ。」 昨日までも、今この瞬間も。 そしてきっと、これからも。 『 彩の恋人2』 完
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