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「4名さまご案内♪」
「誰もいないですね」
「こんなところにはそうそう人は来ないからね」
「あ、いやそうではなくて。他にお店の人はいないのかなと」
「そゆことね。今日は私だけだよ。いつもはおばあちゃんがいるんだけどね」
そう言いつつ、店員さんは奥のカウンターに入っていった。
「味はなにがいいですか~?」
「ブルーハワイ1択だぜ」
「イチゴだなぁ」
「抹茶を頼む」
「じゃあメロンをお願いします」
「了解ー♪」
かき氷を食べつつ、店員さんと話をした。
彼女の名前は松島夏海。
お父さんとお母さんに名付けてもらったその名前はとても気に入っている。
家は少し離れたところにあって、毎年この時期になると手伝いにくるそうだ。
手伝いといっても、ほとんど人は来ないので遊びに来ているようなものらしい。
その他にもいくつか話をしていたのだが。
「なんか腹へったなぁ」
時計に目をやるとすでに17時を過ぎていた。
「もういい時間なんですね」
「早いなぁ」
「夕飯だ!BBQだ!」
先輩は勢いよく外に出て行った。
どうせ焼く係りなんだろうな。
重い腰をあげる。
ん?
「行かないんですか?」
「え?私?」
「はい」
「いいの?」
「はい」
「で、でも4人分しかないんじゃ…」
「あー、あの先輩たちは、足りないと寂しいからって、いつも山ほど買うんですよ。それでいつも残すんです」
「いーのかな」
「いいんですよ」
先輩が戻って来た。
「2人とも早く来い。あと後輩は準備を急げ」
また出ていった。
「ほら、早く行きましょう……」
やっぱり、焼く係か。
「……うん、ありがとう!」
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