運命

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「アリス!勢い良く立つ…………あ」 「今アリスって呼んだ?」 「呼んでない!き、気のせいだよ、春」 莉久はどう見ても動揺している。 僕はアリスと呼ばれる事が嫌だった。 有栖川でアリス。 女の子みたいで少し気持ち悪い。 「莉久なんて大嫌い」 「ごめんってア……春!」 もう無視だ。 謝って直ぐにまた呼ぼうとするなんて。 と言いつつも、どうせ時間が経てば自然に戻っているんだろうけど。 「アリス……か」 突然、斜め後ろ辺りから誰かの声がした。 莉久はさっきの悲しそうな顔とは変わり、その誰かが居る辺りを見て、口を開けている。 僕は思わず振り返る。 その人物は少しつり上がった目に綺麗な鼻筋、薄い唇、男にしては白い肌をしていた。 そして、光が当たると綺麗な金髪。 「もしかして……一ノ瀬さん?」
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