11人が本棚に入れています
本棚に追加
「アリス!勢い良く立つ…………あ」
「今アリスって呼んだ?」
「呼んでない!き、気のせいだよ、春」
莉久はどう見ても動揺している。
僕はアリスと呼ばれる事が嫌だった。
有栖川でアリス。
女の子みたいで少し気持ち悪い。
「莉久なんて大嫌い」
「ごめんってア……春!」
もう無視だ。
謝って直ぐにまた呼ぼうとするなんて。
と言いつつも、どうせ時間が経てば自然に戻っているんだろうけど。
「アリス……か」
突然、斜め後ろ辺りから誰かの声がした。
莉久はさっきの悲しそうな顔とは変わり、その誰かが居る辺りを見て、口を開けている。
僕は思わず振り返る。
その人物は少しつり上がった目に綺麗な鼻筋、薄い唇、男にしては白い肌をしていた。
そして、光が当たると綺麗な金髪。
「もしかして……一ノ瀬さん?」
最初のコメントを投稿しよう!