一章 前日

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…結局綾乃は五人前の食事を食べきった。会計は…もちろん全額俺の一人持ち、合わせて六人前の食費を払うことになった。 「五千二百六十円になります。」 高いレストランに行かなくてよかったとしみじみと思いながらもっとやすいレストランに行くべきだったという後悔も生まれた。 「綾乃、いくら俺のおごりだからってこんなに食うなよ。」 精一杯の嫌みを込めて放った一言に、 「何言ってんのよ、あんただから遠慮しないんじゃない」 さらっと言うか…?一瞬殺気さえおぼえたが、遊びに誘っておいて寝てた俺も悪い… 「…これでおあいこだな。」 小声でぼそっとつぶやいた。 食事を終えてレストランを出たふたりは、特にやることもなくぶらついていた。俺は近くの遊園地なんて何回も行ってるし、海は今は絶対に込んでるから行きたくない…行くとこ無いななんて思ってたけど…。 「どこか行きたいとこある?」 綾乃に聞いてみたら、 「遊園地?久しぶりに行きたいな…観覧車とかさ!この町、見渡せるじゃん、そういう場所行きたいんだ…。」 予想外の回答。無いだろうって思ってたからね。
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